心臓は全身に血液を送り出すポンプの役割を果たしています。通常、安静時は1分間に50〜100回、24時間で約10万回拍動しています。一般的に心臓が5〜10秒停止すると脳血流低下の影響で意識を失い、数分停止すると生死に関わると言われ、非常に重要な臓器です。心臓は主に筋肉で構成されており、心筋を動かすためには電気信号が必要となります。
右心房の上部にある洞結節といわれる部位から電気信号が規則正しく発生し、刺激伝導系と言われる電線を通って心臓の4つの部屋(右心房・左心房・右心室・左心室)に電気信号が伝わることにより、心房と心室が交互に収縮と拡張を繰り返し、全身に血液が送り出されていきます。
不整脈とはこの電気信号が異常をきたすことにより、心臓のリズムが乱れたり、速くなったり(頻脈)、遅くなったり(徐脈)してしまう病気です。一概に不整脈といっても、期外収縮のような命に関わる可能性の少ない良性のものから、心室細動のような突然死の原因となり得る悪性のものまで多岐にわたります。
不整脈はさまざまな原因で引き起こされ、加齢、心臓疾患、高血圧症、ストレス、運動不足、喫煙、飲酒、カフェインの過剰摂取、ホルモン異常などが関連していると言われています。
不整脈の症状として、動悸・息切れ・胸痛・めまい・失神・倦怠感などが挙げられますが、無症状の患者さんも一定数おみえになります。不整脈を未治療で放置することにより、心不全や脳梗塞、認知症などをきたす可能性があると言われています。このため自覚症状や健康診断などで不整脈が疑われる際は、心電図検査だけでなく必要に応じて循環器内科で心臓超音波検査や24時間心電図、血液検査などを行い、原因となる不整脈を同定することが重要となります。
不整脈は発作時以外に受診しても検査で異常所見をみつけることが難しく、ときに心の病などと間違われることも多々あります。このような場合は2週間イベントレコーダーの装着や運動負荷心電図などの検査を行うこともありますが、最近はApple watchのような市販のウェアラブル端末や家庭用心電計などの有用性も報告されています。
治療に関しては自覚症状や原因に応じて、原疾患の治療、生活習慣の改善、薬物療法、カテーテル手術、外科的手術、ペースメーカ植込み術などが挙げられます。不整脈の重症度や患者様の自覚症状等、治療のリスクなどを天秤にかけながら最善の治療を選択致します。
上述の通り、不整脈は放置せず適切な診断および治療を行うことが非常に重要です。脈の乱れを自覚したり、健康診断で異常を指摘された場合はお近くの循環器内科へ一度ご相談下さい。
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