循環器疾患を中心に高血圧・糖尿病・脂質異常症・花粉症・発熱外来等といった一般内科の診療を幅広く行っております

脂質異常症

脂質とは?

脂質とは、中性脂肪、コレステロール、脂肪酸などを指します。

◆中性脂肪とは?
体を動かすためのエネルギー源になります。

◆コレステロールとは?
細胞膜・ホルモン・胆汁酸などの生成に必要な脂質の一つです。
コレステロールは単体では血液に溶けないためLDLやHDLと言われる蛋白と結合して血液中を輸送されます。

脂質が過剰となると、動脈硬化が進展して、脳卒中、心筋梗塞、大動脈瘤・解離、末梢動脈疾患、慢性腎臓病などのリスクが高まります。

コレステロールにはどんな種類があるの?

HDLコレステロール(善玉コレステロール)→ 肝臓で生成されたコレステロールを全身へ運ぶ。増えすぎると血管壁にたまって動脈硬化の原因となる。

LDLコレステロール(悪玉コレステロール)→ 血管壁にたまった余分なコレステロールを回収することにより、動脈硬化を予防してくれる

脂質異常症の診断基準

脂質異常症とは、空腹時採血で下記三つのいずれかを満たすものを言います

1. LDLコレステロール(悪玉コレステロール) 140mg/dL以上

2. HDLコレステロール(善玉コレステロール) 40mg/dL以下

3. トリグリセライド(中性脂肪)150mg/dL以上

動脈硬化性疾患予防の観点から脂質の管理を行う必要があります

脂質異常症の原因について

原発性 → 遺伝、食べ過ぎ、運動不足、喫煙、飲酒、ストレス、肥満など
二次性 → 糖尿病、甲状腺機能低下症、クッシング症候群、ネフローゼ症候群、薬剤性など


治療を開始するにあたって二次性の脂質異常症や家族性高コレステロール血症の有無を調べる必要があります。糖尿病、ホルモン異常、腎臓病や薬剤の関与などをチェックします。また虚血性心疾患や末梢動脈疾患などの合併症有無を検査します。

治療目標

 コレステロールの治療目標はどなたも一律ではなく、患者さんの合併症発症リスクによって異なります。
 狭心症や心筋梗塞、脳梗塞の既往のある患者さんはLDL-C 100mg/dL未満を目標に治療を行う必要があります。とくに急性冠症候群、家族性高コレステロール血症、糖尿病、冠動脈とアテローム血栓性脳梗塞を合併する場合は、LDL-C 70mg/dLを目標に治療を行います。
 また糖尿病、慢性腎臓病、末梢動脈疾患がある患者さんはLDL-C 120mg/dL未満が目標値となります。上記のような疾患の無い患者さんは、年齢・血圧・糖代謝異常(糖尿病予備群)、血清HDLコレステロール値、喫煙歴等でリスクを分類し、LDLコレステロール100~160mL/dLを目標に治療を行います。

脂質異常症の非薬物治療について

◆食事療法
①コレステロールの多い食事(卵黄、魚卵、レバー、乳製品など)を控える
②トランス脂肪酸を含むマーガリンやショートニングなどを使用した加工食品(フライドポテト、ケーキ、カップラーメン、アイスクリームなど)の過剰摂取を控える
③飽和脂肪酸(肉の脂や乳脂肪に多く含まれる:常温で固体)を控える
④不飽和脂肪酸(魚や植物などに含まれる:常温で液体)を中心に摂取する
⑤糖質をとりすぎない
⑥食物繊維を多く含む食品(野菜、きのこ、海藻、玄米、大豆など)を摂取する
⑦アルコールは控えめにする(アルコール自体のカロリー、自制感の低下、酒の肴などの悪影響)→参考:ビール500mL, 日本酒1合, 焼酎0.5合, ワイン240mL, ウイスキー原酒60mL以内
⑧果物は糖質の少ないものを選ぶ
⑨朝ご飯をきちんと食べる
⑩夕飯の時間が遅い方は夕飯1回分を2回に分けてたべる(職場でおにぎり、自宅で魚や大豆食品・野菜など)

◆運動療法
1日30分以上の有酸素運動を週三回以上(可能であれば毎日)
運動強度は軽く息がはずみ汗をかく程度(お隣の方とお話できるくらい)
こまめに動いて座位を避ける

よくあるご質問

空腹で採血するように言われましたが、実際はどのようにしたらよいですか?

一般的には10時間以上の絶食期間をもって空腹時と定義します。午前中の採血の場合は前日の21時から絶食が望ましいとされています。水やお茶などカロリーのない水分の摂取は問題ありません。最近、中性脂肪に関しては空腹時よりも随時採血の方が心血管イベントの予測能が高いとする報告もありますので、血液検査の際は医師の指示に従ってください。