
心臓が収縮して血液を送り出すときの血圧を収縮期血圧(最高血圧)と言います。また反対に血液が心臓に戻ってきて、心臓が拡張し次に送り出す血液をためている状態のときの血圧を拡張期血圧(最低血圧)と呼びます。日本高血圧学会の発表した高血圧治療ガイドライン2019によると、診察室血圧が140/90mmHg以上、家庭血圧135/85mmHg以上を高血圧症と定義しています。

高血圧を放置すると動脈硬化が進行して、心臓病や脳卒中、腎臓病など重大な病気にかかる危険性が高まります。高血圧症は本邦で最も患者数の多い疾患で、2017年の報告では約4300万人の患者さんがいると推計されています。このうち適切に血圧がコントロールされているのは、わずか3割程度と報告されています。3割の方が未治療または高血圧を自覚していないと言われています。
高血圧の多くは加齢や体質、肥満、塩分過剰摂取などの生活習慣に起因する本態性高血圧症と言われています。しかしながら原発性アルドステロン症、褐色細胞腫、腎血管性高血圧症、睡眠時無呼吸症候群、甲状腺機能異常、大動脈縮窄症など、治療可能な病気が隠れている可能性もあります。このため高血圧を指摘された場合、一度は循環器内科での精査が望ましいと考えます。
白衣高血圧と言って病院に来ると血圧が上昇する患者さんがいます。このため家庭血圧の測定が非常に重要となります。家庭血圧は朝食前と眠前の記録が一般的です。朝は起床後排尿を済まし、朝食前に1~2分ほど座位で安静後に記録しましょう。眠前も同様ですが、入浴直後などは控えるのが望ましいでしょう。血圧計は手首で測るものより、上腕で測るものが望ましいとされています。椅子に座って机の上に腕を置き、血圧計のカフを心臓の高さに保って計測しましょう。